すべての生物の組織を構成する細胞内のDNAの端には「テロメア」と呼ばれる領域が存在 し、細胞が1回分裂する度にこのテロメアの一部が切り取られてDNAはどんどんと短くなっていきます。
DNAの長さは限られていますから、テロメアが切り 取られる回数=細胞の分裂回数にも限度があります。
ヒトにおけるこのテロメアが切り取られる回数の上限(=細胞の分裂回数の上限)は、一部の例外を除き約 50回です(※下記参照)。
したがって、テロメアは「細胞分裂の回数券」や「分裂時計」とも呼ばれており、50回目の分裂を終えた細胞は分裂を止め、その 細胞は「老化細胞」となります。
※ヒトの体内には多くの組織がありますが、それぞれの組織の細胞で分裂回数は決まっています。
非分裂細胞
母体内で分裂が終了し、生後は減少し続ける細胞群。 脳神経や心筋、手足の筋肉細胞など。
無限の分裂能力を持つ細胞
テロメアを再生する能力を持ち、分裂を続ける細胞。精子や卵子をつくる生殖細胞。
細胞分裂時のテロメア消費量を少なくして分裂回数を増やしている細胞。血液や粘膜上皮など。
その他の多くの臓器の細胞
約50回の回数券を使い果たすと分裂を止め、組織の老化が進みます。毛髪を形成する毛母細胞も例外ではありません。