AGAとは?薄毛になるメカニズムや原因と治療法

 
AGAとは、成人男性の3人に1人は発症している「男性型脱毛症」と呼ばれる脱毛症で、早い人では思春期を過ぎた20歳頃から発症する進行性の薄毛の症状の1つを指す言葉です。

AGAは、AndroGenetic Alopecia(アンドロジェネティック アロペシア)の略称で、AndroGeneticは男性ホルモン、Alopeciaは脱毛症、これを字義通りに訳すと男性ホルモン型脱毛症という表現になりますが、その表現通り体内のホルモンが原因となって引き起こされる脱毛症です。

前頭部の生え際、頭頂部、もしくはその両方から薄毛が進行する特徴的な症状があり、症状の初期段階では抜け毛の量が増えるだけで見た目に変化はありませんが、徐々に症状が進むと、段々と髪の密度が落ちていき、地肌が露出をしてしまいます。

なお、髪が抜けてしまう疾病は様々ありますが、薄毛の症状が進む間も後頭部や側頭部の毛量の変化が無いことがAGAを見極める上で重要なチェックポイントです。

このページではこのAGA治療専門クリニックである銀座総合美容クリニック院長 正木 健太郎監修の元で、AGAの原因や症状、メカニズムや治療法を詳しく解説をしていきます。

AGAは進行性の薄毛

AGAはある日突然髪が大量に抜ける訳ではなく、長い年月を掛けて徐々に薄毛の症状が進行していきます。初期症状として毛量や見た目には変化がなく、抜け毛の量が少しづつ増え始めます。

通常の人間は1日100本程度の抜け毛があるとされていますが、普段生活をしていると基本的にそこまで気が付きません。ただ、症状が進行して抜け毛が増えることで排水溝に詰まる髪の量が増えたり、枕元の抜け毛の量が増えるなどの現象が起きることで気が付く方もいらっしゃいます。

そして、次の段階に進行することで抜け毛にも変化が現れます。通常の抜け毛は太く長い髪の毛なのですが、徐々に細く短い産毛の様な抜け毛の割合が増えていきます。

更に症状が進むと、毛量や見た目に変化が現れ始めます。前頭部と頭頂部の毛量が落ち始めて地肌が露出し始めます。この段階まで進むと、シャワーなどで髪が濡れると明らかに地肌が透ける、また髪をセットするときに髪型が決まらないなどの自覚症状が現れる方が多いです。

そして症状の最終段階としては完全に頭皮が露出していまいます。

このAGAの進行パターンには特徴があり、「前頭部の生え際から薄毛が進行するパターン」「頭頂部から薄毛が進行するパターン」「生え際と頭頂部の両方から薄毛が進行するパターン」と様々で、進行度合いは7段階に分けられます。

ハミルトン・ノーウッド分類によるAGA進行過程

AGAの進行パターンは人それぞれ異なるため、段階ごとに症状の進行度を測るものとして、ハミルトン・ノーウッド分類と呼ばれる分類方法があります。

ハミルトン・ノーウッド分類

画像中央のⅠ型からⅦ型へのAGAの進行は欧米人に多く、vertex型での薄毛の進行は日本人を含めたアジア人に多いAGAの進行過程です。上記で図説したハミルトン・ノーウッド分類によるAGA進行過程を詳しく以下から説明します。

分類 症状
Ⅰ型 AGAの初期症状。生え際が少し後退しているが、あまり見た目に変化がない状態。
Ⅱ型 Ⅰ型よりも生え際の薄毛が進行している状態で、見た目に変化が現れ始める状態。
Ⅱ型 vertex Ⅱ型に加え、頭頂部の薄毛がO型に進行し始める状態。
Ⅱa型 Ⅱ型に加え、前頭部の薄毛が進行している状態。
Ⅲ型 生え際の薄毛が進行してM字になっている状態。全体的な髪のボリュームも減少している状態。
Ⅲ型 vertex Ⅲ型に加え、更に頭頂部の薄毛がO型に進行して頭皮の露出が目立ち始める状態。
Ⅲa型 Ⅱa型より更に前頭部の薄毛が進行して生え際が後退し始める状態。
Ⅳ型 生え際が後退し、頭頂部がO型に薄くなっている状態。
Ⅳa型 Ⅲa型より更に前頭部の薄毛が進行して髪が残っていたM字の中心部分も薄くなっている状態。
Ⅴ型 生え際の後退がより進行した状態。同時に頭頂部も頭皮が完全に露出し始める状態。
Ⅴa型 Ⅳa型より更に前頭部の薄毛が進行して頭頂部の髪の毛も薄くなり始める状態。
Ⅵ型 生え際から頭頂部にかけて完全に頭皮が露出した状態。
Ⅶ型 頭頂部から更に後ろまで薄毛が進行して頭皮が露出した状態。

このハミルトン・ノーウッド分類の図説にある通りにAGAはⅠ型の症状から時間と共にⅦ型へ徐々に進行していく脱毛症なので、何れの進行パターンであっても、何かしら対策や治療などの手立てを打たなければ進行が止まる事も、急に改善するという事もなく、遅かれ早かれ個人差がありながらも着実に薄毛は進行していきます。

AGAの特徴的な脱毛症状

AGAの薄毛の症状は「側頭部」「後頭部」の髪は薄くなることなく毛量がしっかりと残り、頭頂部と前頭部の髪が薄くなることが特徴的な脱毛症状です。

ひとえに薄毛や脱毛症といってもその症状は様々で、もちろんすべてがAGAという訳ではなく円形の脱毛斑が出来る円形脱毛症や皮膚の炎症が伴う脂漏性脱毛症などがありますが、この「側頭部」「後頭部」の髪は薄くなることなく毛量がしっかりと残る症状はAGAだけです。

また、ハミルトンノーウッドの図説にある通りに、AGAは時間をかけて進行をしていく為、ある日急激に髪が一気に抜け落ちるような症状の変化もありません。

AGAは特徴的な脱毛症状があるにも関わらず、初期症状は抜け毛が増えるだけで顕著に見た目に大きな変化が無い為、素人目にはAGAであるかの判断は非常に難しいといえます。

その為、薄毛が気になる場合にはまず医療機関や医師に相談の上で診断を仰ぐ必要があります。

AGAのメカニズムとは

AGAが発症した人の頭髪では何が起きているのか解説していきます。このAGAにはヘアサイクル(毛周期)という毛髪の生え変わりの仕組みが密接にかかわってくる為、ヘアサイクルの説明と併せて解説します。

通常毛髪というのは、2年から6年かけて太く長く髪の毛を成長させ、寿命を迎えると自然に抜け落ち、次の毛が生えるという生え変わりのサイクルを繰り返していますが、AGAが発症した頭髪は、この生え変わりのサイクル(通称ヘアサイクル)の、太く長い髪の毛を成長させる期間を極端に短くし、十分に髪の毛が育たないまま抜け落ちてしまう状態にしてしまいます。

通常のヘアサイクル

通常のヘアサイクル

髪の毛1本1本には寿命があり、伸びては抜け、また新しく生えてくることを繰り返していて、その生え変わりのサイクルをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。

ヘアサイクルは上記の図のように、髪の毛を太く長くさせる「成長期」、毛が小さく縮小し始める「退行期」、完全に退化し毛が抜け落ちる「休止期」の3つの状態変化を繰り返しており、中でも成長期の期間が一番長く、約2~6年間続いています。

このヘアサイクルは無限に繰り返すというわけではなく、約40~50回と限られた回数でしか営むことはできず、限られたヘアサイクルを全て使い切ってしまうと、毛根から髪の毛が生えてこない状態となります。

つまり、通常のヘアサイクルで、成長期の期間が2年~6年あるときは、1周するのに要する期間は最短2年以上、ヘアサイクルが50回で終えると仮定すると、2年×50回=100年なので、毛髪は100年の寿命になります。

AGAになった場合のヘアサイクル

AGAになった場合のヘアサイクル
AGAが発症したヘアサイクルは「通常のヘアサイクル」が乱され「AGAのヘアサイクル」に入ってしまい、約2~6年かける髪の毛の成長期が約数か月~1年と短くなります。十分に成長しない状態で、退行期・休止期に移行してしまうため、産毛の様な髪の毛が増えてしまいます。

このヘアサイクルの乱れにより、髪の一生が短くなるので、結果的にどんどん抜け毛が増えていきます。例えば、4年で生え変わっていた髪が2年で生え変わることになると、4年間で単純計算すると抜け毛の量は2倍になるということります。

仮にAGAによって本来の髪の成長期の期間(2年~6年)が約半年ほどまでになってしまうと、0.5年(半年)×50回=25年となるので25歳にAGAが発症した場合、50歳には多くの髪の毛がヘアサイクルを営めなくなり、完全に頭皮が露出した状態となります。

髪のミニチュア化

このAGAのヘアサイクルの乱れにより、髪の毛1本1本の状態にも変化が起こります。成長期が短くなった髪の毛は、次の毛が生えてきたとしても太く長く育たずに抜け始めるため、細くて短い髪の毛となる「ミニチュア化」を引き起こします。これにより、髪の1本の価値、いわゆる頭皮を隠すための能力が著しく低下し、全体として頭皮が露出し薄毛が目立つようになっていきます。これがAGAによる髪のミニチュア化です。

AGAの症状が進行して頭皮が露出し初期段階であれば、細く短くなったために地肌が透けて見え毛が無いように錯覚してしまいますが、実は髪の毛はしっかりと生えており、実はその髪の本数自体はほとんど変わりません。

AGAの原因とは

AGAの原因は体内にあるDHT(ジヒドロテストステロン)という悪玉の男性ホルモンです。ただ、このDHT(ジヒドロテストステロン)そのものが体内で生成されてAGAを引き起こすわけではありません。まず、テストステロンという男性ホルモンが体内で生成され、体内で様々な過程を経てDHT(ジヒドロテストステロン)という姿に形を変え、AGAを引き起こします。

このテストステロンという男性ホルモンが、体内でどの様な過程を経てAGAの症状をひきおこしていくのかを解説していきます。

テストステロンからDHT

AGAとは?薄毛になる過程と原因とは
テストステロンは男性の場合は約95%が睾丸(精巣)の中で、残り5%が副腎で合成して体内に分泌される男性ホルモンの1種です。思春期に急激に分泌量が増え、筋肉を肥大させたり、男性らしさを発現させる役割と持ちます。

この体内で合成されたテストステロンは血中を通って全身に行き渡ります。その過程で毛髪の毛乳頭細胞に取り込まれ、5αリダクターゼという酵素と反応することで、ここでテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)にその姿を変えます。

DHTがヘアサイクルに及ぼす影響

DHTがヘアサイクルに及ぼす影響
このDHT(ジヒドロテストステロン)が毛乳頭細胞という毛髪を生成する細胞にホルモン受容体と結合すると、髪が抜けるように指令(脱毛シグナル)を出す脱毛因子TGF-βが増加してヘアサイクルを乱し、AGAの症状が発症していきます。

この様に、男性ホルモンであるテストステロンにより直接AGAが引き起こされる訳ではないので、運動や筋トレなどで体内のテストステロン量を増やしても、それが直接的にAGAの発症にはつながることはありません。

AGAと遺伝

AGAには遺伝的な要素があります。ただ、誤解の無いように結論からお伝えすると「あくまでAGAになりやすい可能性がある」程度の判断材料であることを念頭に置いてください。「身内がAGAだから絶対私もAGAになる」という事はありません。

前段でお伝えしたAGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の活性や、その脱毛因子TGF-βを生み出す「男性ホルモン受容体」の感受性は一部遺伝することが分かっています。

特に男性ホルモン受容体の感受性の高さは、母方の家系から隔世遺伝され、母方の祖父に薄毛の方がいると孫にその影響がより現れやすくなるとされており、クリニックでの遺伝子検査などでご自身の遺伝情報を確認することが可能です。

ただ、あくまでも将来的なAGAリスクの判定の1つの目安であり、AGAを発症する・しないの確定材料になることはありません。

AGAの治療方法

日本の医療機関で行われる代表的なAGA治療は、内服薬と外用薬での治療が中心で、「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」の3種類の薬を用いることが一般的です。また、投薬治療をサポートする施術としてAGA専門のクリニックではHARGや育毛メソセラピーなどがある場合もあります。

フィナステリド

「プロペシア」などの商品名で病院にて処方されており、テストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)になる過程である5α還元酵素を阻害する効果を発揮し、AGA(男性型脱毛症)の主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制することで、抜け毛の抑制や薄毛の進行を遅らせる効果が期待できる薬です。

デュタステリド

国内では「ザガーロ」という製品名でカプセル状の薬剤で病院にて処方されており、フィナステリドと同様にテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)になる過程である5α還元酵素を阻害する効果を発揮し、AGA(男性型脱毛症)の主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制することで、抜け毛の抑制や薄毛の進行を遅らせる効果が期待できる薬です。基本的にAGAに対して効果が同じであるフィナステリドとデュタステリドの両方を同時に処方されることはなく、いづれか一方が処方されます。

ミノキシジル

元々ミノキシジルは高血圧に対する内服薬として作られた物で、副作用として発毛効果が表れた事から、その効果にフォーカスして製薬会社が再開発したことで生まれたAGA治療薬です。

前述したフィナステリドやデュタステリドは抜け毛を抜け毛の抑制や薄毛の進行を遅らせるといった、あくまでも頭髪の現状維持を目的とした効果ですが、ミノキシジルは積極的に髪の毛を生やす発毛の効果が認められています。

なお、ミノキシジルはリアップを代表とする頭皮に直接塗布する外用薬と、クリニックで飲み薬として処方される内服薬の2つのパターンがあります。

なお、AGAクリニックによっては治療薬をオリジナル治療薬と銘打って処方しているケースもありますが、あくまでこれらフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルをベースにその他の成分を組み合わせているに過ぎませんので、AGA治療の効果が何倍にもなるという事はありません。

AGA治療の方針

基本的に前述した「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」のAGA治療の効果を簡単にまとめると下記の通りです。

● 抜け毛を防ぐ → フィナステリド・デュタステリド(内服薬のみ)
● 髪の毛を生やす → ミノキシジル(内服薬・外用薬)

一般的な治療方針として、見た目に変化はないが抜け毛の量が少し増えてきた気がする、または抜け毛が増えてきた等のAGAの初期段階であればフィナステリド・デュタステリドなどにより抜け毛を防ぎ、現状を維持することが可能です。

ただ、AGAが進行して見た目にも頭髪が薄くなってからの治療を開始する場合には、フィナステリド・デュタステリドだけで抜け毛を防いでも、それだけだと発毛の促進が行われないため、元々の頭髪の毛量に回復することが難しい場合も多く、ミノキシジル(内服薬・外用薬)も同時に処方することで発毛も促します。また、技術があるAGAクリニックであれば育毛メソセラピーHARG療法などの施術治療も併用する場合があります。

そして、AGAの症状がかなり進んで内服薬などの治療で改善が見られない場合には、自毛植毛手術などの治療の選択肢が取られる場合がほとんどです。

AGA治療の考え方

現代で行われているAGA治療はヘアサイクルの寿命が尽き、生えなくなった毛根から頭髪を再生する治療ではなく、あくまで今ある髪の薄毛の進行予防と短く細くなったミニチュア化している頭髪を太く長く育てることが目的ですので、生え代わりが完全に無くなった毛根に発毛を促すものではありませんし、現時点での医療では未だ実現化できません。

その為、AGA治療をするか悩んでいる方や薄毛が気になり始めたら、ヘアサイクルの寿命が残っている早い段階で医師に相談することが重要な事であり、早ければ早いほど、AGA治療により元々の毛量に戻る可能性が高くなります。

また、頭髪の悩みは人により様々である故にその治療の目的も様々といえるでしょう。毛量の回復を望む人もいれば、大量の抜け毛が出た事に対する恐怖心を取り除きたい人、または薄毛の症状が無くても将来の頭髪に不安を抱えている人もいます。

AGAは自分自身だけで悩むのでななく、まず専門家である医師と相談してみる事が重要です。

AGA治療専門病院 銀座総合美容クリニック公式HP

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報