女性の薄毛治療薬 パントガールの効果や副作用について

 
パントガールは医療機関において女性の薄毛治療に用いられる薬の1つです。パントガールはドイツのフランクフルトで1908年に創立されたメルツ社(Merz Pharma)というドイツ製薬会社が開発し、女性に多い「びまん性脱毛症」という脱毛症に対して改善効果が期待できる治療薬として、日本でも多くの女性の薄毛治療クリニックや皮膚科で取り扱われています。

女性のびまん性脱毛症とは

女性の薄毛の多くは「びまん性脱毛症」と言われています。びまんとは、一面に広がっている状態を指す言葉で、びまん性脱毛症は頭部全体の毛髪が細くなっていってしまう症状のことです。AGA(男性型脱毛症)のように、頭頂部や生え際から脱毛が進行する特徴的な症状ではなく、抜け毛が増えたり髪の毛が徐々に細くなったりするため、自覚症状が遅れる人も多くいらっしゃいます。

女性ホルモンの乱れや減少が原因のびまん性脱毛症は、加齢や過度なダイエットなどの体への負担、ストレスなどで発症します。特に女性ホルモンが減少する30代後半から40代前半にかけて発症する方が多いです。

びまん性脱毛症について詳しくはこちらをご覧ください。

女性の薄毛の症状「びまん性脱毛症」とは 原因や治療法について

女性と男性の薄毛の違い

脱毛症や薄毛ときくと男性のAGA(男性型脱毛症)をイメージされる人も多いと思います。

AGAは男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)が、毛乳頭細胞内にあるアンドロゲン受容体(レセプター)と結合することでヘアサイクルを乱し、頭髪が脱毛します。女性でも、加齢などによって男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れてしまうことで、AGAのように男性ホルモンによる脱毛症を発症します。FAGA(Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれ、女性男性型脱毛症を指します。

FAGA(女性型男性型脱毛症)について詳しくはこちらをご覧ください。

FAGA(女性男性型脱毛症)とは?原因やメカニズムと治療法

しかし女性の場合、FAGAだけにとどまらず、発熱や感染症、甲状腺疾患などどいった疾患でも薄毛に悩む人もいらっしゃいますし、極度の疲労やストレス・貧血・妊娠などのホルモンバランスが崩れることで薄毛に悩む方など様々です。

このように女性の場合は薄毛の原因が多岐にわたるため、毛髪の成長や代謝に必要な栄養素や、女性ホルモンのバランスを崩さない生活リズムなどで改善していきますが、どれか一つを行えばいいというわけには行きません。AGA治療のように、フィナステリドとミノキシジルを服用して経過を見るのではなく、体全体の体調や体内リズムを整えるという治療法になっていきます。

その他の女性の抜け毛や薄毛の原因や治療について詳しくはこちらをご覧ください。

女性の薄毛や抜け毛の原因とは 脱毛症の種類や治療法について

パントガールの成分と効果

パントガールはびまん性脱毛症に有効な成分を多く含有まれており、毛髪に良いとされる成分ももちろんのこと、健康維持に必要なビタミンB1、毛髪を形成する際に必要なケラチンを構成するL-シスチンなど、様々な成分が含まれています。具体的に以下よりパントガールの成分とそれぞれの効果を詳しく解説します。

成分名 含有量
(1カプセル)
効果
ビタミンB1 60mg 糖質の代謝に必要な成分で、細胞の活動を活性化
パントテン酸カルシウム 60mg 毛髪や皮膚の細胞の成長に関わる成分で、脂肪の代謝に必要や副腎の機能を助けることで抗ストレス作用のホルモン(副腎皮質ホルモン)の合成を促進する
薬用酵母 100mg ビタミン、たんぱく質、消化酵素を豊富に含み体調を整える
L-シスチン 20mg 毛髪や爪に多く含まれるケラチンを構成するアミノ酸の一種。ターンオーバーの正常化、代謝をサポートする、抗酸化作用などの働きがある
ケラチン 20mg 毛髪の主成分で、8種のアミノ酸で構成されているたんぱく質の一種
パラアミノ安息香酸 20mg 日焼け止め成分として化粧品にも用いられるビタミンBの1種。白髪を防止する役割のあるで皮膚と毛髪を若々しく保つ役割がある

毛髪や爪などは毎日細胞分裂を繰り返すことで少しずつ成長します。そのためエネルギーが多く消費されるので、パントガールに含まれる代謝作用のビタミンBはより重要になります。特にビタミンB1は、白米などで糖を摂取する機会の多い日本人にとって、欠かせない栄養素といえるでしょう。

その他にもパントガールは、代謝や毛髪に必要な栄養素である「パントテン酸カルシウム」や「L-シスチン」などを多く含有しており、毛髪の成長をサポートする育毛剤のような役割があり、飲む育毛剤とも呼ばれています。

パントガールとミノキシジルの違い

育毛剤というとミノキシジル外用薬のような発毛効果の高い成分を思い浮かべるかもしれません。しかしながらパントガールはあくまでも毛髪の成長をサポートする育毛効果で、直接毛髪を発毛させるような作用はありません。また、国内承認医薬品ではありません。

対してミノキシジルには毛髪の細胞増殖や、タンパク質合成の促進、または成長因子の活性化が薄毛治療において発毛効果が期待されており、ミノキシジル外用薬は日本の厚生労働省でも発毛効果が認められている国内承認医薬品です。

ミノキシジルの外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ミノキシジル外用薬の効果や副作用について

ミノキシジルの内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ミノキシジル内服薬の効果や副作用について

パントガールでは初期脱毛は起こらない

ミノキシジルを使用すると、成長因子分泌の活性化や細胞分裂を促す作用などによって、AGAで乱れたヘアサイクルが正常に戻ろうとします。使用開始2週間程度すると、元々生えていた古い毛(AGAにより細く短くなってしまった毛髪)を押し出して、新しい毛(ミノキシジルによって正常に成長した元気な毛)が生えてくることで、使用の初期段階において古い毛が一気に脱毛します。これがミノキシジルを使用してから脱毛量が増える「初期脱毛」とよばれる現象です。

ミノキシジルの初期脱毛について詳しくはこちらをご覧ください。

AGA治療で初期脱毛が起きる原因やメカニズムとは

一方でパントガールは、細胞分裂の活性化や成長因子分泌を促す成分などは含有していません。あくまでも健康な体作りに必要な「ビタミンB群」や毛髪の形成に必須な「ケラチン」、ケラチンの構成する「L-シスチン」などが含まれており、ミノキシジルの様なヘアサイクルに作用を及ぼす成分は含まれていない為、初期脱毛が起きることはありません。

パントガールの副作用

パントガールを服用したことで重大な副作用を発症する報告は、まだされておりません。というのも含まれている成分は、日ごろ食事から摂取できるような成分が大半である為です。

しかしながら軽度の副作用として、眩暈や頭痛、吐き気、蕁麻疹などが報告されています。以下の異常を感じたらすぐに内服を中止し、医師に相談しましょう。

● 蕁麻疹 発疹 等 の皮膚のかゆみ
● 胃腸系症状(下痢・吐き気・嘔吐・胸やけ・腹痛・鼓腸(腸の中にガスが異常なほどにたまってしまっている状態))
● 頻脈(心拍数が120回以上になる頻脈で、不整脈のうち、正常よりも脈が速くなる状態)・心拍数の増加・動悸 など
● 頭痛や目眩(めまい)、発汗

パントガールの入手方法

パントガールはAGAクリニックや皮膚科などで取り扱っていますが、市販の薬局などでは販売されていません。その為、医療機関で薬を処方してもらいましょう。

なお、個人輸入でも入手することは可能ですが、安価で入手できる代わりに薬自体が偽物だったり、重大な副作用がでてしまったりすることがあり得ますので、お勧めは出来ません。

パントガールを服用するにあたっての注意点

パントガールは誰でも気軽に服用できるわけではありません。女性が服用するにあたり、注意すべき点が3つありますので、それぞれ解説をしていきます。

過敏症の既往歴がある方の服用

過敏症の既往歴がある方がパントガールを内服すると、アナフィラキシー・ショックで血圧低下や意識障害などを起こす恐れがありますので、注意が必要です。

12歳未満の子どもへの服用

パントガールは12歳未満の子どもに対して、十分な臨床試験が行われていないため、12歳未満の子どもへの服用は安全性も確認されていないため処方できません。

3ヶ月以上の服用

パントガールを飲んで直ぐに頭髪の状態に変化が起こる訳ではありません。髪の毛は一朝一夕で伸びたり発毛したりはせず、毎日細胞分裂をすることで徐々に伸びていくものです。毎日少しずつ運動してダイエットするのと同じように、医師から処方された容量を守った上で3ヶ月以上継続して服用することで変化が見られ始めるケースが多いです。

パントガールの服用方法

パントガールに含まれるビタミンB群は熱に弱い特性をもつ栄養素ですので、熱湯での内服は避け、常温の水または冷たい水で服用してください。

また、院内調剤をしているようなクリニックであれば、パントガールの他にも育毛効果をサポートするようブレンドしている可能性もあります。基本的には1日3カプセルで大丈夫ですが、内服のタイミングや回数などは処方した医師の指示に従うようにしましょう。

パントガールで女性の薄毛も改善へ

パントガールは主にビタミンBやL-シスチン、ケラチンなど髪に必要な成分を含んでおり、女性の薄毛を改善する治療薬です。生活習慣の乱れやストレス、出産など、女性はさまざまな要因で薄毛になってしまいます。一度に一気に脱毛することがあれば変化が一目瞭然ですが、毎日少しずつ起こる変化ですので、気が付いた時には薄毛が進行していることも多いです。抜け毛が増えた、髪のボリュームが若いころより少なくなったなどと感じるのであれば、女性の薄毛を診察してくれる医療機関へ相談してみてください。

銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、女性の抜け毛や薄毛の悩みについても治療をお受けしております。


SP【女性専用】銀座総合美容クリニック 無料カウンセリングのご予約 銀座総合美容クリニックでは、女性の抜け毛や薄毛の悩みについても治療をお受けしております。無料カウンセリングではその方々の状態を拝見の上、治療の方法や効果・副作用、また効果発現の目安などについてもご説明させていただきます。また、女性専用の待合室を設けており周りの目を気にすることなくご来院いただけます。

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記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報
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