AGA(男性型脱毛症)は頭頂部と前頭部、いわゆるつむじと前髪の生え際から抜け毛が増えて、徐々に頭皮が透けるようになる進行性の薄毛の疾患です。
AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。
関連: AGAとは?引き起こす要因から治療法まで解説
進行性の脱毛症であるAGA(男性型脱毛症)はクリニックの治療による改善効果が認められていますが、治療費用や治療方法はクリニックによって大きな差がある為、適正な市場価格や費用に対しての考え方を把握しておくことが重要です。
この記事では、これからAGA治療をはじめる方や現状の治療費用に疑問がある方に向けて、一般的なAGA治療の相場やAGA治療費は単純に安い方が良いのかなどについて解説します。
- AGA治療は自由診療で費用は全額自己負担
- 主なAGA治療法は投薬・注入治療・自毛植毛の3種
- 治療費相場は治療法や薬の種類で大きく異なる
- 治療費用の安さより医師の診察体制と安全性が重要
- AGAは完治不可で効果維持に治療継続が必要
AGA治療費用の考え方
AGA治療費用とは、主に診察・検査費と治療費の2つで構成されます。治療費には投薬治療、注入治療、自毛植毛などが含まれ、それぞれに費用差があります。
そしてAGA治療における一般的な第一選択は「AGAの改善効果の期待が高い点(※1)」「治療費が安価に収まる点」「身体への負担が少ない点」などから投薬治療と考えられており、多くのクリニックでは内服薬や外用薬といった薬剤での治療を行っています。
投薬治療は医師によって処方された治療薬を服用することでAGA改善を試みます。治療薬は1ヶ月単位で処方されることが多く、医師による薬の効果の確認や副作用のチェック等、経過観察のために定期的な通院が必要になります。
なお、最近では3ヶ月や半年分の内服薬をまとめて処方するAGAクリニックもありますが、その間の客観的な治療効果や副作用の観察が全く出来ない点など鑑みると、初めてAGA治療をする場合であれば最初の数ヶ月は毎月医師の診察を受けることをおすすめします。
最近では診察やカウンセリングの料金を無料に設定しているクリニックが増えているため、投薬治療の主要な費用は薬剤費と考えて良いでしょう。
※1 ガイドラインの推奨度の説明
初月のAGA治療費用の相場
初月のAGA治療費用の相場とは、約6,000円〜38,000円程度が一般的です。治療費に加えて初診料や血液検査などが必要になるため、2ヶ月目以降より高くなる傾向があります。
初月のAGA治療の料金相場は以下の通りです。
診療内容 | 費用相場 |
カウンセリング・診察料 | 無料〜3,000円/回 |
血液検査 | 約3,000円〜5,000円/回 |
治療費用(薬代) | 約3,000円〜30,000円/月 |
総額(※2) | 約6,000円〜38,000円/月 |
こちらはあくまで相場ですので、上述の範囲外の料金を設定しているクリニックも存在します。また注入治療や自毛植毛を選択した場合はこの限りではありません。
※2 2回目以降の治療は「血液検査」「診察料」などを含まないクリニックが一般的です。
AGA治療の選択肢
AGA治療の中で最も基本となるのが「投薬治療」です。薬剤を用いてAGA改善を図る治療方法で、経口摂取によって体内から薬剤を吸収する「内服薬」と、頭皮に直接薬剤を塗布する「外用薬」に分けることができます。
「フィナステリド内服薬」および「デュタステリド内服薬」や「ミノキシジル外用薬」が代表的な治療薬であり、日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において最も推奨度の高い治療方法とされています。
AGA治療の内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。
AGA治療の外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。
次に、新たな選択肢である「注入治療」は体外から有効な成分を直接頭皮に注入する治療方法です。名称はクリニックによって異なり、「成長因子療法」「育毛メソセラピー」「グロースファクターセラピー」「HARG療法」など様々な治療名で表記されますが、基本的に同じ治療を指しています。
育毛メソセラピーについて詳しくはこちらをご覧ください。
HARG療法について詳しくはこちらをご覧ください。
注入治療では「成長因子(グロースファクター)」(体内で特定の細胞増殖や分化促進といった働きをするタンパク質の総称)と呼ばれる有効成分を頭皮に注入することでAGAの症状の改善を図ります。
注入治療に使用される成長因子の種類は多岐におよび、明確な規定はなく配合される成分はクリニックによって様々です。
また、自分自身の髪の毛を移植する「自毛植毛」もAGA治療に有効な手段の1つです。AGAの影響を受けづらいと考えられている側頭部や後頭部の髪の毛を採取し薄毛部位に移植します。
植毛の術式は毛包単位で移植片を採取する方法が一般的であり、メスを使用する「FUT法」や医療用パンチ(*1)を使用する「FUE法」などが代表的な自毛植毛術として浸透しています。
*1 医療用パンチ:手術などに使用する医療用の器具
参考:「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
AGA治療別の費用相場
上記で紹介した代表的なAGAの治療方法である「投薬治療」「注入治療」「自毛植毛」ですが、それぞれの治療費用の相場は全く異なっています。
投薬によるAGA治療費用の相場
一般的にAGA治療に使用する薬剤は、症状の抑制を目的としたフィナステリドおよびデュタステリド内服薬、発毛の促進効果を期待できるミノキシジル内服薬やミノキシジル外用薬が使用されています。
それぞれの治療薬の一般的な費用相場は以下の通りです。
薬品名 | 費用相場 |
フィナステリド内服薬(1ヶ月) | 約3,000円〜6,000円 |
デュタステリド内服薬(1ヶ月) | 約7,000円〜9,000円 |
ミノキシジル内服薬(1ヶ月) | 約6,000円〜12,000円 |
ミノキシジル外用薬(1ヶ月) | 約7,000円〜9,000円 |
上述の金額は1種類の治療薬を1ヶ月服用する場合の費用相場です。
症状の進行状態により治療薬の濃度を変更したり、2種類の治療薬を併用したりすることもあり、それらの調整はクリニックや担当医師の治療方針により様々です。
注入施術によるAGA治療費用の相場
育毛メソセラピーに代表される注入治療は複数回の治療が必要です。具体的な回数や治療期間はクリニックにより差がありますが、一般的に月に1回の治療を3回〜12回程度継続します。
注入治療はクリニックによって配合される成分が異なり、注入内容によって治療費用が大きく増減する点に注意が必要です。
施術名 | 費用相場 |
メソセラピー | 約20,000~50,000円/回 |
ヒト由来の成長因子(HARG(*2)) | 約180,000円〜230,000円/回 |
*2 HARG:幹細胞から抽出した各種成長因子を含む「AAPE」と呼ばれるタンパク質を注入する治療。効果や効能は一般的なメソセラピーと類似している。
自毛植毛によるAGA治療費用の相場
治療は基本的に1回で終了します(AGAの進行状態によって追加の植毛が必要になる場合もあります)。
そのため自毛植毛では治療回数ではなく、植毛の範囲や植毛数によって料金プランが設定されています。
具体的には基本料金に加えて移植する毛包の単位である「グラフト」の数によって治療費用が変動します。
グラフト | 費用相場 |
基本料金 | 無料〜約300,000円 |
500グラフト | 約500,000円〜600,000円 |
1,000グラフト | 約800,000円〜1,000,000円 |
※移植するグラフト数や術式の種類によって、上述の金額より高額な治療費用が必要になる場合があります。
AGA治療は保険適用外
病院で医師の診察を受ける場合、診療には公的な医療保険が適用される「保険診療」と、適用されない「自由診療」の2種類が存在します。保険診療は保険証を提出することで負担額が原則3割になりますが、保険の効かない自由診療は全額自己負担となります。厚生労働省の認可がない未承認の医薬品を使用する場合や、美容整形や脂肪吸引など診療の目的が傷や病気の治癒で無い場合はすべて自由診療となり、AGA治療は保険適用外の自由診療に該当します。
治療費に幅が出てしまうのは、自由診療の価格設定はクリニックの裁量に一任されているためです。
AGA治療と健康保険について詳しくはこちらをご覧ください。
また、ビタミンなども配合したクリニックオリジナルの治療薬(*3)と低価格な医薬品であるジェネリック薬(*4)の存在も価格差要因の1つでしょう。そしてAGAの進行状態によって治療費用が変動する点も見逃せません。症状が軽度であれば必要最低限の治療で改善効果を実感できるかもしれません。
しかし、症状が重度であったり治療中の方法で効果が見られない場合には、薬の濃度を上げたり、他の治療を試すなどするため追加の治療費用が必要になることもあるでしょう。
クリニックでは様々な状況を想定して料金プランを設定しているため価格に幅ができてしまうのです。
ただ、薬剤を混ぜ合わせても薬の相乗効果を得られる訳ではなく、あくまでも得られる薬の効果は、混ぜる前の薬の範疇を超えることはありません。
*3 クリニックオリジナル治療薬:「フィナステリド」「ミノキシジル」「デュタステリド」など複数の薬を混ぜ1剤にした薬や、それらの薬に頭皮や髪の毛に有効とされる様々な添加物を配合してオリジナルとしている治療薬。
*4 ジェネリック薬:後発医薬品。先発医薬品の特許期間満了に伴って発売される効能・効果が同一の医薬品。先発薬に比べ低価格で購入できる。
AGA治療は費用を重視してクリニックを選ぶべきか
AGA治療は発毛を実感し薄毛の改善が目に見えるまでに平均して6ヶ月程度かかるといわれています。AGAは進行性の脱毛症という特徴をもっているため、治療効果を維持するためには治療を継続しなければなりません。
AGAの治療費用は1度の診察費や短い期間の治療費だけで判断するのではなく、効果が実感できるまでの期間や、その後の状態維持に必要な治療費まで考慮する必要があります。また、副作用のある治療でもあるので医師による定期的な診察や血液検査も非常に重要です。
AGA治療の副作用について詳しくはこちらをご覧ください。
症状を正確に把握せず安価な治療を継続しても、満足いく結果は得られないでしょう。
AGA治療では、費用だけでなく医師による診察体制が整っているかが最も重要です。自身の症状に合った治療法を見つけ、毎月効果検証を受けられるクリニックを選びましょう。
その上で最も安全で経済的な負担の少ないクリニックを選ぶべきでしょう。
AGA治療費用と治療効果の関係
AGA治療では、費用だけでなく医師による診察体制が整っているかが最も重要です。自身の症状に合った治療法を見つけ、毎月効果検証を受けられるクリニックを選びましょう。
治療費用を増やせば高濃度の薬剤使用や費用が高額な施術を受けることは可能ですが、その方法が必ずしも自分自身にとって満足できる結果をもたらすとは限らないのです。
医師との相談の上で異なる治療方法に踏み切ったり、新たな治療薬を使用することで以前よりも改善効果を実感できた事例は多く存在します。
しかし、それは医師による正確な診察と診断の元に判断された治療の結果であり、闇雲な散財によって治療薬の量を増やしたり根拠の乏しい治療方法を実践したことによる効果ではありません。
治療費用を増やしたからといって必ずしもAGA改善効果が高まるわけではないのです。
ただ、国内で流通している薬はある程度の相場が決まっているので、極端に安い治療費用にも注意が必要です。個人輸入のように薬を海外から仕入れて横流しにするケースや、医師法により処方箋は必ず医師が書いて患者様に薬を処方することが義務づけられていますが、医師が介在せず薬を処方するケースがあり、その場合に薬の費用が安くなることがあります。
AGAの治療費が安くなることは患者様にとって負担が軽くなり良い事です。しかし薬の処方を受ける際は、安全にAGA治療を続ける為にも、診察を受ける度に相手が医師であることの確認をしっかり取るようにしましょう。また、副作用などで体調面の不安が出た際には直ぐに医師に相談できる病院を選びましょう。
AGA治療費用は一生かかるのか
AGA治療は完治が難しく、基本的に継続が必要です。進行性の脱毛症のため、治療を止めると再発する可能性が高く、効果を維持するには長期的な治療が求められます。
また、AGAは進行性の脱毛症であるため治療によって発毛を実感し満足な結果を得られたとしても、状態維持のためには治療の継続が必要になります。
治療を中止すると時間の経過と共に脱毛症状が再び現れてしまうため長い期間におよぶ治療が求められます。AGAは症状の改善は可能ですが、完治させることは難しい脱毛症であると認識しておきましょう。
AGA治療の継続期間について詳しくはこちらをご覧ください。
ただ、相対的に歳をとるにつれ自然と同年代の方も加齢により髪も薄くなりますし、髪への価値観も時間と共に変化していくので、そういった事象も天秤に掛けながら治療期間は自分自身で決めましょう。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。
