薄毛やAGAは、食生活の改善によって症状が緩和されるケースがあります。特に栄養不足が原因の薄毛には、適切な栄養素を摂取することで毛髪が太くなり、抜け毛の予防につながります。
食生活を見直すことで薄毛やAGAを改善したいと考えている方に向けて、「そもそも食べ物で薄毛やAGAは改善するのか」そして「AGAや薄毛を食生活で改善するには、どのような食べ物や栄養素に気を付けて摂取すべきなのか」という点について詳しく解説していきます。
- 薄毛の原因次第で食生活改善が有効
- AGAはホルモンが原因なので食事改善では不十分
- 毛髪成長に必要な栄養素と主な食品例
- 脂質・糖分・塩分過多は抜け毛リスクに
- 自己判断の前に医師の診断を受けよう
目次
食べ物やバランスの良い食生活で薄毛は改善する?
栄養不足が原因の薄毛は、食生活の改善によって大きく改善する可能性があります。ただし、薄毛の全てが栄養不足によるものとは限らず、原因によっては改善が難しいケースもあります。
例えば、長期的に毛髪に必要な栄養が不足していると抜け毛が増えて薄毛になる可能性が高くなります。この場合には、食生活を見直すことで頭髪の状態が改善されるケースが多いと考えられます。具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- 過度なダイエットや無理なファスティングで体に必要な栄養が足りていない場合
- 多忙などにより、長期間コンビニのお弁当などで食事を済ませ、栄養が大きく偏っている場合
- 極端な偏食で特定の食べ物しか摂取していない場合
上記の様なケースが薄毛の原因となっている方々が食生活を見直した場合、足りていなかった栄養が血液に乗って毛髪まで行き届き、毛髪の成長をコントロールしている毛母細胞が活性化することで、毛髪が太く長く成長します。そのため、一時的な栄養不足が原因で起こる薄毛は、規則正しい食生活で毛髪にとって必要な栄養素を摂取することで、大きく症状が改善する場合があります。
なお、このような栄養不足により薄毛になるケースは男性よりも女性に多くみられます。
食べ物やバランスの良い食生活でAGAは改善する?
AGAによる薄毛は、食生活では根本的な改善が難しい症状です。なぜなら、AGAはホルモンバランスが原因で発症する症状のため、栄養素での改善には限界があるからです。
AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。
関連: AGAとは?引き起こす要因から対策まで解説
なお、薄毛の原因がAGAか否かの特定は医師による診察を受ける必要がありますので、まずはAGAクリニックや皮膚科等の医療機関に相談されることをおすすめいたします。また、仮に自分の薄毛がAGA(男性型脱毛症)であることが既に分かっている場合には、セルフケア(ご自身で改善)では改善が難しい為、AGA治療薬などのお薬で治療することをおすすめいたします。
毛髪の成長に必要な栄養素について
上述したように、栄養不足が原因の薄毛は日々の食生活を見直し、適切な栄養素を摂取することで改善が期待出来ます。毛髪も健康な状態へと導かれ、症状の緩和につながります。では一体どのような食事や栄養素に気を付けるべきなのか、具体的に解説していきます。
私たちが普段摂取する栄養素の中には、毛髪を生成するのに必要な栄養素や成長を促す栄養素、抜け毛予防に役立つものなど多種多様にあります。毛髪にとって必要・摂取したい栄養素をご紹介します。
タンパク質:毛髪の主成分
毛髪は80~90%がタンパク質で、残りがメラニン色素(3%以下)、微量元素(1%未満)、水分12~13%で成り立っているといわれています。タンパク質を摂取することで、毛髪のもとになる栄養素を取り入れることができるため、積極的に摂りたい栄養素の一つです。
主に含まれている食べ物
- 生ハムや鶏ささみなどの肉類
- いくらや魚肉ソーセージなどの魚類
- たまご
- きな粉や納豆などの大豆製品
※乳製品にも含まれていますが、商品によって含有量が異なりますので、成分表を確認しましょう。
シスチン:タンパク質の構造を安定化
シスチンは、毛髪のタンパク質の約14~18%を含有する重要なアミノ酸の一つで、毛髪は18種類のアミノ酸からできています。また、ミノキシジルの効果を高める役割があると報告されており、外用薬を使用している方にとっては積極的に摂りたい栄養素の一ついえるでしょう。
主に含まれている食べ物
- あまのり
- にしんやさばなどの魚類
- たまご
- 牛肉
メチオニン:シスチンの原料
必須アミノ酸の一つで、体内で合成できないため食事から摂取する必要がある栄養素です。シスチンのもととなるアミノ酸で、体内ではメチオニンからシスチンが合成・変換され、血液を通じて全身へと運ばれます。
主に含まれている食べ物
- マサバやマグロなどの魚類
- 豚ロースや鶏むね肉などの肉類
亜鉛:シスチンをケラチンに合成する
亜鉛は、血流にのって運ばれてきたシスチンをケラチン(*1)へと合成する働きがあります。しかし、亜鉛は体内でつくることができないため、食事からの摂取が不可欠です。亜鉛が不足するとケラチンへの合成が不十分になり、新しい毛髪の生成ができなくなります。
*1 ケラチン:毛髪や爪、皮膚などを構成する主要なタンパク質
主に含まれている食べ物
- 油揚げ
- 牡蠣
- レバー
- カシューナッツ
※亜鉛はサプリメントでも容易に摂取することが可能ですが、摂取量が多すぎると銅の吸収阻害による銅欠乏、吐き気などの副作用が出る可能性があります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より男性は11mg/日、女性は8mg/日が推奨されているため、摂り過ぎには注意しましょう。
ビタミンB群:毛髪成長のサポート
現在認められているビタミンの数は13種類ですが、その中でも毛髪と関係が深いのがビタミンB群とビタミンEです。これらは、直接的に薄毛を改善したり毛髪を育毛することはありませんが、代謝の補助をしたり役割や血液の循環を良くする役割をもっており、毛髪が育ちやすい環境を整える働きがあります。
ビタミンB群には、亜鉛の働きをサポートするビタミンB6や、不足すると脂質がエネルギーとして利用しにくい状態になり、皮脂の分泌量が増えるビタミンB2などが含まれます。
主に含まれている食べ物
- 肉の肝臓類
- アーモンド
- 納豆
- 卵
- いりごま
- にんにく
- ピスタチオ
- ビーフジャーキー
なお、ビタミンは水溶性ですので、煮たりゆでたりするとゆで汁や煮汁に溶け出します。そのため、汁も一緒に食べられるような料理で摂取することがおすすめです。
また、ビタミンB2は過剰摂取しても尿として排出されるので過剰症の心配はありませんが、ビタミンB6を過剰に摂取した場合、骨が痛んだり筋肉が弱まったりすることがあります。男性の場合は、精子数の減少や精巣の萎縮も報告されていますが、これらの症状は数gを数ヶ月以上の長期間摂取し続けると起こる症状ですので、普段の食生活では過剰摂取にはならないでしょう。
推奨摂取量は男女とも18歳以上であれば1.1~1.4gです。ビーフジャーキー1袋100g入りでも0.85mgですので、あまり気にしすぎなくても大丈夫でしょう。
イソフラボン:ヘアサイクルの成長期を保つ
大豆に多く含まれているイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれます。エストロゲンには、髪の成長を促す作用や、太くハリ・ツヤのある髪を生成することやヘアサイクルの成長期を保つ作用があります。
主に含まれている食べ物
- 豆腐やおから、納豆、豆乳などの大豆製品
ただし、特に女性の場合は摂取量や摂取する時期に気を配る必要があります。例えば、生理前症候群の緩和を目的に過剰に摂取すると、ホルモンバランスが乱れて逆効果になる可能性があります。また、食品安全委員会によると、日本人の食生活における日常的な大豆イソフラボンの安全と考えられる 1 日摂取目安量の上限を70~75mg/日と設定しております。
薄毛が気になる人が控えた方が良い食事について
ここまでは薄毛の改善を目的とした食事や栄養素を紹介しましたが、逆に食事のとり方や摂取する食べ物によっては頭皮の環境が悪化し、抜け毛や薄毛の原因になる場合もありますので、そちらも紹介します。
脂っこいものや糖分・塩分は控える
揚げ物や脂が大量に使用された料理は、食材にも油が吸い込んでいる場合が多く、身体に取り込むと胃に負担がかかります。東京医科歯科大学と東京大学などのグループの研究では、マウスに脂肪を多く含んだ餌を1ヶ月与え続けた結果、毛が薄くなったと発表がありました。
毛包幹細胞の中に中性脂肪がたまることで、この細胞が表皮などに変化していることが分かりました。マウスによる研究ではありますが、ヒトでも同様のメカニズムが関与している可能性があると考えられているため、脂っこいものの食べ過ぎには十分気を付けることが望ましいです。
また、糖分や塩分を過剰に摂取してしまうことも胃に負担がかかる原因になります。皮脂の分泌を促進し、頭皮の環境を悪化させる可能性があるので、スナックなどのお菓子よりはフルーツを食べることや、外食を控えるなど、食生活を工夫しましょう。
セルフケアの前に医療機関で薄毛の原因を特定しましょう
薄毛のセルフケアを始める前に、まず医療機関で原因を特定することが重要です。原因が分からないままケアを行うと、症状を悪化させる可能性があります。
また、食べ物以外でも生活習慣において気を付けるべき事はあります。
生活習慣から見直すAGAや薄毛の対策や予防法について詳しくはこちらをご覧ください。
男性も女性も起こり得る薄毛は同じ脱毛する症状でも、原因や治療薬が異なる場合があります。男性の薄毛は男性ホルモンが関係しているAGA(男性型脱毛症)が多いですが、女性の場合は原因が多岐にわたるため、原因解明が困難なことが多くあります。男性の場合でも、AGAと円形脱毛症が合併していることもあり、医師でない限り薄毛の原因を断定することは困難です。
そのためにも、まずはAGAクリニックや皮膚科で医師の診察を受け、触診やマイクロスコープなどで薄毛の原因を特定することが大切です。原因が分かった上で、正しい薄毛のセルフケアを行いましょう。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。
