AGA(男性型脱毛症)は頭頂部と前頭部、いわゆるつむじと前髪の生え際から抜け毛が増えて、徐々に頭皮が透けるようになる進行性の薄毛の疾患です。
AGAの治療を行う皮膚科やAGAクリニックのホームページで、AGA治療薬やカウンセリングのほかに、血液検査の項目があるのを見たことがあるかもしれません。その際「薄毛治療なのに、なぜ血液検査が必要なのか?」と思うのではないでしょうか。
AGA治療で血液検査が必要な理由は、AGA以外の病気を見つけ、より効果的で安全な治療計画を立てるために重要な検査だからです。このページでは、AGA(男性型脱毛症)を治療する際に血液検査がなぜ必要なのか、血液検査を行うことで何がわかるのかを詳しく解説します。
AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。
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AGA治療の血液検査で分かること
それならなぜAGA治療に血液検査が必要で、それにより何が分かるのかという疑問が更に深まりますので、具体的に解説していきたいと思います。
血液検査で分かること1:AGA以外の薄毛の原因
血液検査ではヘモグロビンの値や、赤血球の大きさであるMCVや甲状腺ホルモンの数値等がわかります。それらが低いと内分泌疾患に伴う脱毛症を引き起こす可能性があります。
鉄欠乏性貧血による脱毛症の確認
血液検査により鉄欠乏性貧血による脱毛症の可能性を把握することができます。
名称 | 数値 | 基準値 |
ヘモグロビン | 12g/dl未満 | 成人男性13g/dl以下 成人女性12g/dl以下 |
MCV | 60-70fl | 80~102fl |
ヘモグロビンやMCVの血液検査の結果が基準値よりも低い場合、鉄欠乏性貧血による脱毛症の場合があります。なお、ほとんどが無症状と言われており、症状が強くなると集中力ややる気の低下などが観察されます。
甲状腺ホルモン異常による脱毛症の確認
血液検査により甲状腺ホルモン異常による脱毛症の可能性を把握することができます。
検査項目 | 基準値 |
甲状腺刺激ホルモン(TSH) | 0.35~4.94(μU/ml) |
T4 | 4.87~11.70(μg/dl) |
遊離型(free)T4 | 0.70~1.48(ng/dl) |
T3 | 0.58~1.59(ng/ml) |
遊離型(free)T3 | 1.71~3.71(pg/ml) |
甲状腺の検査によって上記の数値が高すぎたり低すぎたりすると、甲状腺に関して何らかの異常が発症している可能性があります。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうと、必要以上に新陳代謝が上がってしまうバセドウ病も考えられ、脱毛症を伴う場合があります。
血液検査で分かること2:肝機能低下の有無
血液検査で貧血や肝臓の異常、腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などを発見することができますが、特にAGA治療を行う際に注意したいのは肝臓の数値です。
項目 | 基準値 |
AST (GOT) | 7~38 IU/L |
ALT (GPT) | 4~44 IU/L |
γ-GTP | 男性:80 IU/L以下 女性:30 IU/L以下 |
AGA治療は一般的に投薬治療になりますが、処方される薬の中には「フィナステリド」や「デュタステリド」といった治療薬が使われます。AGA治療に限らずですが、一般的に薬は肝臓で代謝されるため、肝臓に大きな負担を掛けて別の疾患に繋がる可能性があります。
血液検査でわかること3:AGA治療薬の効果予測
前述の通り、血液検査では血中のヘモグロビンや甲状腺、肝機能に関するさまざまなデータが数値で見ることが可能です。医師がフィナステリドやデュタステリド等といった肝臓で代謝されるAGA治療薬を処方する場合、その数値を確認して、治療薬が代謝されすぎないか、または代謝されずに効果が発揮されないかなどをチェックします。
もちろん、薬の効果は体質との関係やAGAの進行状況によっても異なるので、数値だけでは予測の範囲を超えませんが、ある程度は効果の予測を立てることは可能です。
AGA治療における血液検査の必要性
血液検査からAGA治療に必要な多くのデータが把握できることをお伝えしましたので、実際にAGA治療における血液検査の必要性を下記にまとめます。
AGA治療の必要性
薄毛治療というと一般的にはAGA(男性型脱毛症)を真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれませんが、薄毛になる理由は何もAGA(男性型脱毛症)だけとは限りません。生活習慣の乱れによって抜け毛が増えてしまっている人もいれば、鉄欠乏性貧血やバセドウ病(甲状腺機能亢進症)などの病気でも脱毛の症状がみられます。
AGA治療を開始する前に血液検査を行うのは、こういったAGA(男性型脱毛症)ではない病気を見つけるためです。
AGAクリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリドなど5α還元酵素阻害薬といわれる薬は、AGA(男性型脱毛症)の薄毛の症状にしか効果を発揮しません。その為、薄毛の原因を診察以外で消去法的に血液検査のデータから絞ることが出来るため、AGAの可能性を考慮した上で治療を開始することが可能になり、治療自体が無駄になってしまう可能性がなくなります。
このことから、血液検査はAGA治療にとって非常に重要な判断材料だと考えられます。
AGA治療の方針決定
肝臓の数値が悪いことで内服薬治療の可否が決まります。数値が問題ない場合にはフィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬が処方が可能ですが、血液検査の結果によっては処方できない可能性があります。その場合には育毛メソセラピーなど別のアプローチ方法でAGA治療の方針を定める必要があり、その方針決定においても血液検査は非常に重要な判断材料です。
AGAクリニックの血液検査の方法
AGAクリニックの血液検査の方法は、一般的な健康診断などで採血するタイプと同じで、看護師により血液を採取して約7~10日前後で分析結果が分かります。その結果をもとに、医師がAGA治療薬を処方するかしないかを判断します。
なお、クリニックにより血液検査費用は異なりますので、直接医療機関にお問い合わせください。
AGA治療における血液検査の意義
AGA(男性型脱毛症)を治療するためには、さまざまな検査によって患者様の状態を医師が把握する必要があります。
最近では血液検査をせず、カウンセリングのみ行いAGA治療薬を処方するAGAクリニックも増えてきました。事前に患者様の情報なく処方されたAGA治療薬を服用することはリスクの高い選択です。AGA治療を行うのであれば、血液検査の結果をもとに治療薬の濃度調整を行う医療機関を選択すると、安心して治療を継続できるでしょう。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。
AGA治療の血液検査に関するよくある質問
最後に、AGA治療の血液検査に関するよくある質問に回答します。
AGAの血液検査はどこで受けられますか?
AGAの血液検査は、主にAGAクリニックなどで受けられます。AGA検査キットを使用すれば、自宅でも実施することは可能ですが、その結果を自分自身でどう理解し判断するかは難しいす。また、医師による診察がなければAGAかどうかの判断ができません。そのため、AGAクリニックで血液検査を実施することをおすすめします。
AGAの血液検査を受けるべきタイミングはいつですか?
血液検査は、AGAの治療を始める前に行うのが理想的です。AGA治療薬は内服薬での治療がメインとなる為、他の薬と同様に肝臓などに負担が掛かる場合があります。肝機能を確認することで安全に治療を進められます。なお、銀座総合美容クリニックでは、初回カウンセリングと医師による診察の後に血液検査を行います。
AGAの血液検査の費用はどれくらいですか?
AGAの血液検査の費用は、クリニックや検査内容によって異なりますが、一般的には5,000円〜15,000円程度が相場です。銀座総合美容クリニックでは、5,500円(税込)で血液検査を実施しております。
