薄毛は青年期以降の男性や、更年期を迎えた女性に多く見られる症状です。なお、それらの薄毛の原因と症状は多岐に渡る為、それらを見極めた上で適切な治療をしないと薄毛の症状を改善することは出来ません。
医学的な見地から薄毛の様々な原因や症状についてどの様なケースがあるのかを解説し、そしてそれらの治療方法や具体的な対策を紹介していきます。
- 薄毛の原因は多種多様で複雑
- 毛周期(ヘアサイクル)短縮で抜け毛増加
- 薄毛の初期症状は髪の細化が特徴
- 生活習慣も薄毛に影響を及ぼす
- 医師の早期診断と治療が重要
薄毛とは
薄毛とは、「頭髪の本数の減少」や「頭髪1本1本が細くなる症状」、これらが一方、もしくは同時に起こることで、頭皮が透けて見える状態を指します。医学的には「脱毛症」と総称され、その中には、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)をはじめ、円形脱毛症、脂漏性皮膚炎に伴う脱毛など、さまざまな種類が含まれます。
一般的に薄毛は「加齢によるもの」と捉えられがちですが、実際にはホルモン・遺伝・生活習慣・頭皮環境など複数の要因が複雑に絡み合って発症・進行します。そのため、原因を正しく理解せずに自己流のセルフケア対策を行っても、十分な薄毛の改善が得られないケースも少なくありません。
毛周期(ヘアサイクル)と薄毛の関係
薄毛を理解する為には、まず髪1本1本がどの様に成長し、抜けて、また生えてくるかのヘアサイクル(毛周期)の仕組みを理解しておくことが重要です。
毛髪は以下のサイクルを繰り返しています。
- 成長期(約2〜6年)
- 退行期(約2〜3週間)
- 休止期(約3〜4ヶ月)
- 脱毛(髪の毛が抜ける)
健康な髪の毛は成長期が長く、太く長い毛が育ちます。しかし、薄毛になると多くの場合は成長期が著しく短縮されることで、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまうケースが多いです。
また、この髪の生え変わりも無制限に出来る訳ではありません。1つの毛根で髪が生え替わりをする事が出来る回数は、上限が約50回前後になると言われています。その為、成長期が短くなり次々と髪が生え替わり、その上限回数を迎えると、現代医学においてその毛根から新たに髪を生やすことができない状態になります。その為、薄毛対策は出来る限り早く対策を開始することが重要になります。
薄毛の症状について
薄毛はその原因によって症状の現れ方が大きく異なります。ここでは代表的な薄毛の症状を詳しく解説します。
生え際・頭頂部のみの後退
AGA(男性型脱毛症)では、以下の箇所のいずれか、または両方で薄毛が進行します。
- 前頭部(M字)の後退
- 頭頂部(つむじ周辺)の薄毛
症状がかなり進行すると両者が繋がってしまいます。ただ、後頭部や側頭部の毛量は減らず一切変わらないというのがこのAGA(男性型脱毛症)での特徴的な薄毛症状といえます。
髪の毛の細化によるボリューム低下
薄毛の初期段階で多く見られるのが、髪が細くなることによる髪のハリやコシの低下です。
- スタイリングが決まらない
- 髪が寝やすくなる(髪が立ち上がりにくい)
- 分け目が目立つ
- 髪が濡れた際に頭皮が目立つ
これらは毛包のミニチュア化のサインであり、見逃されやすい薄毛の初期症状です。
抜け毛の増加
通常、1日の抜け毛の本数は50〜100本程度とされています。
- 明らかに抜け毛が増えた
- 細く短い毛が多く抜ける
この様な場合は注意が必要です。ただ、自分の抜け毛の数を正確に把握することは困難ですので、排水溝で髪の毛を掃除する頻度や枕元の抜け毛の本数などに注意を払いましょう。
分け目・頭頂部の地肌露出
女性の薄毛で良く見られる症状としては、
- 髪の分け目の幅が広がる
- 頭頂部が透ける
といった「びまん性脱毛」が特徴です。なお、男性のAGAように生え際が後退するケースは比較的少ない傾向があります。
急激な脱毛
基本的に薄毛は徐々に進行していく特徴がありますが、急激な脱毛が起こることがあります。
- 円形脱毛症(自己免疫異常)
- 急性びまん性脱毛症(ストレス・体調変化)
- 出産後脱毛(産後脱毛)
これらの症状は数日~数週間という短期間で急激に薄毛の症状が進行します。
頭皮トラブルを伴う薄毛
脂漏性皮膚炎などの頭皮の病気では、以下の様な症状が見られます。
- 頭髪のフケ
- 頭皮のかゆみ
- 頭皮の赤み
などを伴い、それらの炎症が引き金となり薄毛が進行します。かゆいところを爪などでかきむしる行為により頭皮に物理的なダメージが加わることで更に薄毛の症状を悪化させる場合もあります。
薄毛の原因について
薄毛の原因は人それぞれであり、また単一の原因ではなく、複数の要因が重なって発症するケースもあります。ここでは医学的に重要な原因を詳しく解説します。
ジヒドロテストステロン(DHT)
AGA(男性型脱毛症)の原因の1つです。男性ホルモンの「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)いわゆる悪玉の男性ホルモンに変換されます。それが、毛根周囲のアンドロゲンレセプターと結合することで、毛根に対して髪が早く抜けるように指示を出します。それにより「ヘアサイクルの成長期の短縮」「毛包のミニチュア化」が起こり、髪が薄くなっていきます。
遺伝
AGA(男性型脱毛症)は遺伝の影響が大きいとされており、遺伝情報で「5αリダクターゼの活性」「アンドロゲン受容体の感受性」が遺伝的に決まっているとされています。ただし、あくまで遺伝的な素質があるたけですので遺伝があっても必ずAGAを発症するわけではありません。AGAが発症するか否かは個人体質などにも大きく依存します。
加齢
肉体と同様に髪の毛や髪を生み出す毛母細胞も歳を重ね老いていきます。髪の場合は白髪が代表的ですが、それだけでなく、髪を生み出す毛母細胞も老化するにつれ、髪の成長が遅くなる、また髪の毛自体が細くなって地肌が透ける、最終的には髪が生やせなくなる、といった薄毛の原因になります。
頭皮環境の悪化
髪の毛をしっかり育てるには、健康的な頭皮が不可欠です。しかし、油分を摂取すぎて頭皮に炎症やニキビができる、頭を乾かさず就寝して頭皮で菌が繁殖する、頭皮に合わない刺激の強いシャンプーを使って頭皮がダメージを受ける、過度な日焼けで頭皮が火傷をする、など頭皮は目で直接見えない分、実はダメージや炎症が起き環境が悪化しているケースがあり、これが薄毛を引き起こします。
栄養不足
髪の毛は「ケラチン」という約18種類のアミノ酸が結合した硬質タンパク質でその約9割が構成されています。すなわち、タンパク質が欠乏してしまうと髪の毛を合成することができなくなってしまいます。通常の食生活であれば全くタンパク質を摂取しないという状況はないので、そこまで敏感になる必要はありませんが、長期に渡ってインスタント食品やファーストフードに依存した場合には、タンパク質が欠乏して薄毛の原因になる可能性があります。
睡眠不足
髪の毛を成長させる為には、タンパク質だけでなく成長ホルモンと呼ばれる体内の物質も非常に重要です。これは体の成長や修復を促しますが、髪の毛の成長も同様です。そして、この成長ホルモンは眠り始めの最初の3時間前後(最初の深いノンレム睡眠時)、また時間帯だと夜10時〜深夜2時にピークを迎えるという研究結果もあり、慢性的な睡眠不足や夜更かしをすると成長ホルモンの分泌が妨げられ薄毛の原因になり得ます。
アレルギー
アレルギーというと一般的に腕や顔など体に出るイメージがありますが、頭皮もアレルギー反応が出る可能性があります。アレルギー反応によって頭皮の血行が悪くなる、頭皮が炎症を起こし髪が薄くなる事もあります。なお、自己免疫機能の異常という広義で考えると円形脱毛症のように突発的に髪の毛の脱毛が発症するケースもあります。
外的なダメージ
長期間に渡り強い牽引(ポニーテールなど)がある髪型にしている、頻繁なカラーリングやブリーチ、夏場に長時間帽子を被らず紫外線を浴びるなどの行為は、毛髪・頭皮に負担をかけてしまいます。
女性特有の原因
女性の場合は「出産後のホルモン変動」「更年期(エストロゲン低下)」「過度なダイエット」など女性特有のホルモンの状態で薄毛を発症する場合が多く、これにより、びまん性脱毛が起こるケースがあります。
薄毛の対策方法について
薄毛の原因から分かる通り、その種類は多種多様で、場合にによってはいくつもの原因が折り重なるケースもあります。その為、自分でその原因を紐解き適切なセルフケアを行うことは非常に困難であることが分かります。時間が無いから、コストがかかるからといって安易な目の前の薄毛のセルフケアを行っても中々効果が出ない理由はここにあります。
とはいえ、セルフケアが全て意味が無いという訳ではありません。薄毛の症状が出る前の予防としてセルフケアを行うことは、頭皮頭髪の健康状態を維持するという意味で非常に有効です。また、薄毛の治療を受けている中で頭皮頭髪のセルフケアを併用することでその治療効果を引き上げることも出来ます。まずは、それらの日常生活で取り入れられる薄毛ケアを紹介します。
自宅で出来る薄毛対策
顕著に薄毛の症状が出る前の予防としてセルフケアを行うことは非常に有効です。それらの日常生活で取り入れられる薄毛ケアを紹介します。
頭皮への刺激の弱いシャンプーを使う
シャンプーは洗浄基剤(洗浄成分)によって頭皮への刺激が異なります。アミノ酸系シャンプー(アミノ酸系界面活性剤)や石鹸系シャンプー(石鹸素地)は頭皮への刺激が少なく頭皮ケアに有効です。一部の石油由来の高級アルコールシャンプー(硫酸系界面活性剤)は洗浄力が強すぎるあまり頭皮への刺激が強く、頭皮にとってダメージになる場合があります。
栄養バランスの良い食事を摂取する
髪の毛は主にケラチンというタンパク質で主に構成されていますので、髪の成長にタンパク質は必須です。しかし、タンパク質だけ摂取すれば良いという訳ではありません。タンパク質の消化にはビタミンが重要な役割も果たします、またケラチンを合成する際には炭水化物も原料として使われます。その為、特定の栄養だけ摂取するのではなく、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランス良く摂取しましょう。
質の高い睡眠をとる
睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、体の成長やメンテナンスに必要不可欠な時間ですが、髪にとっても髪を成長させ頭皮環境を整える「髪の健康」に不可欠な時間です。なお、以前は22時~2時の成長ホルモン分泌のゴールデンタイムに、良質な深い睡眠(ノンレム睡眠)をとることが大事とされていましたが、最新の研究ではその常識も覆り、入眠直後の最初の90分間で良質な深い睡眠(ノンレム睡眠)に入れるかが重要とされています。
参考URL Adaptation of the 24-h growth hormone profile to a state of sleep debt
医療機関の薄毛治療
薄毛の症状が顕著になっている場合、薄毛の進行が著しい場合には、基本的にセルフケアによる症状の改善は困難です。まずは医療機関に相談の上で薄毛の原因の解明、そして適切な治療計画を立案することが最初の1歩であり、かつ最も大切なステップです。ここでは現在主流となっている医学的な治療法を解説します。
AGA治療内服薬治療
● フィナステリド(プロペシア
効果:5αリダクターゼ(II型)を阻害、DHT生成を抑制、進行抑制効果
● デュタステリド
効果:5αリダクターゼ(I型 II型)を阻害、DHT生成を抑制、進行抑制効果
● ミノキシジル
効果:発毛を促進
外用薬治療
● ミノキシジル
効果:発毛を促進
補助療法
● ケトコナゾール
効果:抗炎症・抗真菌作用により頭皮環境を改善
● スピロノラクトン(女性)
効果:抗アンドロゲン作用
● パントガール
効果:栄養補助による毛髪強化
頭皮への注入治療
● メソセラピー/成長因子療法/HARG
効果:成長因子や有効成分を頭皮に直接注入
自毛植毛
効果:後頭部の毛を移植する外科的治療
薄毛になったらまずやるべき事とは
薄毛が気になりだしたら手当たり次第に薄毛対策を試すのではなく、自分の症状を見極める必要があります。その為、まずやるべき事は「近所の皮膚科」や頭髪の専門性の高い医療機関である「AGAクリニック」で医師に診断をしてもらいましょう。まずは自分の症状や原因を医師の診察で確定させることが第一歩です。
日常的にできる薄毛対策として「睡眠をしっかりとる」「栄養のある食事をバランスよく食べる」「ストレスを管理する」といった方法は、そもそも身体にとって良いので、もちろん頭髪の成長に良い効果や、あくまで薄毛予防の側面として一定の効果は見込めますが。しかしながら、現在進行形で顕著に髪が薄くなっている方の薄毛対策としては、有効性がどの程度あるかと言われると残念ながら医学的には疑問が残ります。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。
薄毛に関してよくある質問







