ミノキシジル内服薬の効果や副作用について

 
AGA(男性型脱毛症)とは男性ホルモンが原因で引き起こされる薄毛の症状であり、AGAに対する有効な治療薬の代表的な物の1つとして「ミノキシジル」という薬があり、薬剤形態として内服薬と外用薬の2種類が存在します。

AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。

AGAとは?薄毛になるメカニズムや原因と治療法

それぞれ同じ有効成分ミノキシジルを含有した治療薬ですが、国内で正式に認可が下りているのは外用薬のみであり、内服薬は未認可となっています。

異なる剤形を有するミノキシジルですが、今回は国内では未認可であるミノキシジル内服薬に関して、詳しく掘り下げて説明していきます。

ミノキシジルとは

ミノキシジルは血管拡張作用が認められており、高血圧の方にとっての降圧剤としてアメリカの製薬会社によって開発された経緯をもっています。

しかし、副作用として「多毛(毛が生える)」という現象が発生したため薄毛治療への転用が期待され、研究の結果、発毛効果が認められると共にAGA治療薬として使用されるようになりました。

現在では、フィナステリドやデュタステリドと並び、AGA治療の代表的な薬剤として国内外で広く使用されています。

ミノキシジルの内服療法は承認されていない

医薬品には「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2種類が存在します。医療用医薬品は処方薬のことであり、病院や診療所において医師の診断の上で発行された処方箋に基づき、薬局にて薬剤師を通じて渡される薬を指します。

一方、一般用医薬品は作用の強さや副作用に合わせ3つのグループに分類され、ミノキシジル外用薬は「第1類医薬品」に帰属されます。

医師の診断を受けずに薬局で購入することができますが、購入の際には薬剤師による情報提供が義務付けられています。

日本国内で医薬品や医療機器を製造・販売するためには厚生労働省の認可を受けなければなりません。これは「医薬品医療機器法」によって定められていいます。

医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保するため、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制を行っています。また、献血に代表される血液事業、薬物乱用防止対策、化学物質の安全対策など国民の生命と健康に直結するさまざまな問題に取り組んでいます。

引用元:厚生労働省HPより抜粋

ミノキシジルには内服薬と外用薬が存在しますが、厚生労働省の認可を受けているのは外用薬のみで、ミノキシジル内服薬は国内製造も販売も禁止されています。

しかし、医師の責任において輸入し処方することは可能であることや、高い発毛効果を期待できることから国内ではミノキシジル内服薬を取り扱っているAGAクリニックも多く存在します。

なお、医師によるミノキシジル内服薬の輸入に関しては、医療法に基づき、医師の裁量権の元に患者に処方しても全く問題がないとされていますので、ミノキシジル内服薬の処方自体は国内において何ら問題はありません。

ミノキシジルの効果

ミノキシジルは髪の毛の根元にある、毛乳頭に作用する成長因子の分泌を活性化させる働きや、細胞分裂を繰り返すことで髪の毛になる毛母細胞に作用すると言われています。この作用によって発毛が促進されると考えられているのです。

ミノキシジル内服薬の作用機序

実は、現在の医学ではミノキシジルのAGAに対する厳密な作用は解明されていません。しかし、信憑性の高いデータや研究は発表されており、おおよその作用機序は分析されています。

上述したミノキシジルの効果の中で毛乳頭や毛母細胞の活性化について触れましたが、正確には毛乳頭に作用するVFGFとIGF-1と呼ばれる成長因子を活性化するからと考えられています。

● VEGF「血管内皮細胞増殖因子」
→血管形成(血管がないところに新たな血管を作り出すこと)および、血管新生(既存の血管から分枝伸長し、血管を形成すること)に関与する成長因子です。

● IGF-1「インスリン様成長因子-1」
→主に肝臓などから分泌される成長因子の1つで、細胞増殖や、分化の促進、タンパク質の合成に作用しています。

VEGFは毛組織における代表的な細胞成長因子であり、髪の毛に存在するヘアサイクルの健全な活動に関与しています。

ヘアサイクル中の成長期を維持する因子であるVEGFは、ヘアサイクルが成長期から退行期へ移行することに伴い減少していきます。

同様にAGA発症時の毛細胞で減少することから、発毛に大きく関わる重要な成長因子といわれています。

また、人の毛乳頭にはIGF-1と受容体(体内にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと)が存在し、毛母細胞成長因子を産生させ、毛母細胞を増殖させる方向に作用することがわかっています。

髪の毛の元となる毛母細胞が増殖することによって発毛に繋がっていきます。髪の毛の発毛にとって大きな役割を担っている各成長因子ですが、ミノキシジルは毛乳頭細胞内の成長因子の産生や、発現を促進することによって発毛効果を発揮しています。また、血行の促進に関しては、血管を拡張することで血流の改善が見込めるとも考えられております。

毛乳頭には血管が入り込んでいるため、毛組織血管の拡張による血流改善効果が期待されることは必然であり、毛組織の栄養状態を改善し、発毛を促すと推定されますが、毛組織での血流増加の証明は未だにされておらず、血流を介さない直接作用の可能性もあるとされています。

ミノキシジルの服薬期間

ミノキシジル外用薬に関しては、日本皮膚科学会の発行する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、実施された国内臨床試験の結果が記載されていますが、

男性型脱毛症に対する2%ミノキシジルを用いたランダム化比較試験では、924名の男性被験者を対象とした観察期間24週のデータにおいて、脱毛部の総毛髪数がベースラインより平均で20,90本増加しています。

また、2%および 5%ミノキシジル液を比較した393名の男性被験者対象のランダム化比較試験では、観察期間48週までのデータにおいて、ベースラインからの増加は2%ミノキシジルで平均12,7本、5%ミノキシジルで平均18,6本、5%ミノキシジルでは有意に増加したと記載されています。

ミノキシジル外用薬について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ミノキシジル内服薬の有用性に関する臨床試験は行われていません。内服薬のみにおける服用期間は明言できませんが、外用薬と内服薬の有効成分や発毛メカニズムは同じであるため、外用薬の臨床試験結果を目安と捉えることはできるでしょう。

ガイドラインに記載されている臨床試験の観察期間は24週~48週です。つまり内服薬を服用する場合も、最低限6ヵ月以上の継続が必要となるかもしれません。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

ミノキシジル内服薬の服薬方法

ミノキシジル内服薬については、治療を行うクリニックごとに、様々な容量と剤形があるので、服用方法については処方を受けたAGAクリニックの指示に従う必要があります。

AGAの進行状況によって、1日1回の服用や、朝晩1日2回の服用の場合など様々なケースが得られますが、必ず医師と相談の上、調整しましょう。

また、AGA治療薬は継続しなければ効果を実感できません。というのも、AGA治療約に限らずですが薬はその効果を最大限引き出す為に体内の有効成分の血中薬物濃度を一定に保つ必要があります。その為に飲み忘れを防ぎ毎日決まった時間に服用することが一般的とされています。

他の治療薬との併用

ミノキシジル内服薬は他のAGA治療薬と併用することが可能であり、同じ有効成分を含有するミノキシジル外用薬と併用して使用されることもあります。

AGAは、症状の進行を抑制しながら同時に発毛を促進することで最も効果が現れるといわれているため、発毛の促進に効果的なミノキシジルだけを服用しても、発毛を促して髪を太く長く成長させる前に髪が抜け落ちてしまう為、症状の抑制に効果的なフィナステリドやデュタステリドと併用することも一般的とされています。

その他のAGAの薬やAGAの治療法について詳しくはこちらをご覧ください。

医学的見地に基づくAGAに効果がある薬と治療法

服用の際の注意点

ミノキシジル内服薬を服用するにあたり注意すべき点をまとめました。

初期脱毛

ミノキシジルの服用を開始した際に普段より多く脱毛が認められる場合があります。

主に服用後2週間程度ではじまるこの症状を「初期脱毛」といい、1ヵ月~2ヵ月程度で治るといわれています。

初期脱毛は、AGAの進行によって乱されたヘアサイクルがミノキシジルの効果によって正常に戻る過程で起こる現象であり、体の正常な反応です。ミノキシジルによって成長期に移行した髪の毛は、元々生えている古い髪の毛を押し出し成長します。その際に抜け落ちた古い髪の毛が初期脱毛の原因です。

なお、初期脱毛は必ず起きるわけではなく、起こったとしても一時的に脱毛が増加するケースがほとんどです。

副作用

降圧剤として開発されたミノキシジルですが、副作用としての多毛が認められたことからAGA治療薬として利用されている経緯からもわかるように、体毛が濃くなるという副作用が報告されています。

また、日本皮膚科学会のガイドラインには、“内服用製剤の添付文書中の市販後調査欄に、 胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載がある”と表記されてることからも分かる通り、服用の際には必ず医師の指導を受ける必要があります。

禁忌

内服薬のミノキシジルに関して国内の認可がない為、明確な禁忌について言及することは困難ですが、外用薬のミノキシジルについて、大正製薬のリアップx5の禁忌を確認すると、

● 女性(5%の場合)
└日本人女性における安全性がミノキシジル5%では確認されていません。

● 未成年者(20歳未満)
└国内での使用経験がありません。

● 壮年性脱毛症(AGA)以外の脱毛症
└ミノキシジルは壮年性脱毛症(AGA)のみ有効

● 脱毛が急激であったり、髪は斑状に抜けている人
└壮年性脱毛症(AGA)以外の可能性が高い。

参考:リアップX5

上記内容が確認でき、少なくとも内服薬でも同様なことは言えますが、これらはあくまで外用液での禁忌や副作用に過ぎないので、内服薬独自での副作用や禁忌の情報については、必ず処方を受けた医療機関に確認が必要です。

医薬品副作用被害救済制度について

医薬品において副作用の有無を完全に予期することは不可能です。

この制度は、医薬品等を適正に使用したにも関わらず、副作用が発生し健康被害を受けた場合、医療費等の給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済を図ることを目的として創設されました。

ミノキシジル内服薬はこの制度の対象外であり、万が一、重大な副作用が発生したとしても保証を受けることができないことを留意しておきましょう。

ミノキシジル内服薬の入手方法

ミノキシジルの内服薬は国内で認可が下りていない以上、一般の皮膚科などで入手することはできません。

故に、薄毛治療を行っている美容クリニックや、AGA専門のクリニックで処方してもらう必要があります。

それ以外ですと、海外の通販サイトや、個人輸入を斡旋する代理店を経由して治療薬を入手する方法があります。

病院やクリニックにおける医師の診察を受ける必要はなく、比較的安価で購入できることもあり、個人輸入を試みる方もいるようです。

しかしながら、個人輸入にはリスクが伴い、国内の病院やクリニックに比べ、入手ルートが不透明なことが多く、偽薬や粗悪品が混入されている可能性もあります。

万が一、個人輸入で購入した治療薬を服用した際に、重篤な副作用が発生した場合は、すべて自己責任になってしまうので、個人輸入は手軽に治療薬を入手できる手段ではありますが、反面、相応のリスクが伴う点からも、個人輸入は決して賢明な判断とはいえません。

内服薬は外用薬と違い、直接体内から効果を発揮するため、外用薬より高い効果を期待できるでしょう。

しかし上述したとおり、内服薬は厚生労働省未認可薬です。服用の際は医師の診察を受け、効果やリスクをしっかりと把握した上で服用するようにしましょう。

AGA治療専門病院 銀座総合美容クリニック公式HP

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報